「農福学物語」は、静岡県・浜名湖地域で生まれた連携の物語です。
農業(農)、福祉(福)、学校(学)という三つの現場が、それぞれの力を持ち寄り、支え合いながら、ひとつの地域プロジェクトを築いています。

この取り組みは、単なる支援やボランティアではありません。
障がいのある方が製品の加工や作業を担い、高校生がネーミングやデザインに参加し、農家が素材を育てる。
それぞれの“できること”が役割となり、地域に新たな循環を生み出していく仕組みです。

この流れを可視化するために、「農福学物語」は詩や物語のかたちで描かれました。
実際に起きた出来事をもとに、短い言葉やストーリーでまとめ、誰かに届くように編みなおしています。

この物語には主役はいません。
土を耕す手も、布を染める手も、アイデアを描く手も、すべてが等しく尊く、ひとつの風景をつくりあげています。

私たちは、こうした取り組みを地域ごとに広げ、共に育てていく仲間を探しています。
これは一人の挑戦ではなく、手から手へとつながる、小さな連携の物語です。


「こまつにゃ」という名前は、数年前、地元の高校生が生み出してくれたものでした。
小松菜と猫をかけあわせたそのユニークなネーミングは、私たちの活動の中で温められ、やがてキャラクター世界「こまつにゃ」
として形になりました。

主人公は、うにゃら と にゃかつきの兄弟猫。
畑を駆けまわり、野菜や季節とふれあいながら、ときには人間たちの営みを眺め、ときには自分たちのことばで考えます。
彼らの視点から農業や福祉、地域のことをゆるく語るシリーズは、「農福学物語」のスピンオフでありながら、別の入り口としての役割も担っています。

子どもたちや若い世代にとって、農業や連携の世界は難しく感じられるかもしれません。
だからこそ、猫たちの目線から、やさしく・おかしく・少し哲学的に伝えていく。
それが「こまつにゃ」の使命です。

この世界が広がることで、「農福学物語」の世界観にも奥行きが加わっていきます。
こまつにゃは、もうひとつの“手”として、このプロジェクトを支える存在です。